こんばんは、めーぷるです。
さて、今回はクラシック界の中でも屈指の美女ピアニスト、カティア・ブニアティシヴィリについてご紹介していきます。
ヴァレンティナ・リシッツァやユジャ・ワンと並んでYouTubeで見かけることの多い女流ピアニストの一人でもあります。
そんな彼女の経歴や特徴、演奏動画、おすすめCDなどについてご紹介していきます。
目次
カティア・ブニアティシヴィリの経歴
子供の頃
カティア・ブニアティシヴィリは1987年6月21日にジョージア(旧グルジア)で生まれました。
このジョージアという国、あまり馴染みのないという方も少なくないかと思いますが、ソ連解体に伴って独立した国の一つで、あのスターリンの出身地域でもあったそうです。
ソ連解体が1991年、つまり彼女が4歳の時ですので、政治情勢の大きな転換点の中で生まれ育ったということができましょう。
カティア・ブニアティシヴィリは3歳の頃、ピアノ教師をしていた母からピアノの手ほどきを受けるようになったようです。
幼い頃からクラシック音楽にのめり込み、とりわけモーツァルトのレクイエムは大のお気に入りだったのだとか。
6歳にしてトビリシ(ジョージアの現首都)の室内管弦楽団と共演を行ったとされており、早くからその才能を発揮していたことが伺えます。
10歳の頃には近隣の旧ソ連国家やヨーロッパ、アメリカに演奏旅行に出かけるようにもなっていたとのことです。
また幼少期、ピアノと並行してヴァイオリンも習っており、こちらもかなりの正確さで弾きこなしていたようです。
しかしながら、本人はピアノの方が性に合っていたというのもあり、最終的にピアノ一本で勝負していくことを決意したようです。
(そもそも二刀流をまともにこなす音楽家なんて、ユリア・フィッシャーくらいしか見たことありませんが。)
世界的ピアニストへの飛躍
その後トビリシ中央音楽学校、トビリシ州立音楽院で学び、国内で勉強を重ねます。
そして転機が訪れたのが、2005年のトビリシ国際ピアノコンクール。
決して規模が大きい国際コンクールではありませんが、カティア・ブニアティシヴィリはここで第2位ならびに芸術のための特別賞を受賞しました。
そして、このコンクールでの活躍がたまたまオレグ・マイセンベルクというピアニストの目にとまり、彼の紹介によってウィーン国立音楽院へと転籍することとなるのです。
言わずと知れた名門ですよね。
ウィーンで研鑽を積み、2008年にはカーネギーホールデビューも果たしています。このホールで演奏することはクラシック音楽家として最高の栄誉です。
また同じ年、第12回アーサー・ルービンシュタイン国際ピアノマスターコンクールに出場し、第3位ならびにショパン最優秀奏者賞と聴衆賞を勝ち取ります。
この時のファイナルでの協奏曲では暗譜が飛び、音楽が一瞬止まったのち盛大にワープするというハプニングにも見舞われています。
しかしながら、演奏後は拍手大喝采となりました。国際コンクールのファイナルという舞台で普通しないようなミスを犯したにも関わらずです。
聴衆賞を獲得していることからもわかるように、彼女の演奏スタイルには聴く人を引きつける特別な何かがあるということを感じさせるエピソードですね。
その後
ルービンシュタイン国際ピアノコンクールにおいて、名実ともにトップピアニストへと上り詰めた彼女はその後もエコークラシック賞ソロレコーディング(19世紀ピアノ部門)を受賞するなど、幅広く活躍を認められています。
またオーケストラとの共演にもかなり意欲的に取り組んでおり、フランス交響楽団(パーヴォ・ヤルヴィ指揮)、ロサンゼルス交響楽団、ウィーン交響楽団、フランス国立管弦楽団(ダニエレ・ガッティ指揮)、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団等の共演歴があります。
また、室内楽でも活動しており世界的ヴァイオリニストであるギドン・クレーメルやルノー・カピュソンとの共演も果たしています。
現在はSony Classicalと契約し、レコーディングを行いつつ、世界中で演奏活動を行っています。
SNS等でも積極的に発信していらっしゃるので、彼女の近況が気になるという方はぜひこちらも覗いてみてくださいね。
Twitter: https://twitter.com/BuniatishviliKh
instagram: https://www.instagram.com/khatiabuniatishvili/
HP: http://www.khatiabuniatishvili.com/
カティア・ブニアティシヴィリの特徴
圧倒的な美貌
カティア・ブニアティシヴィリといえば、何と言ってもこの美貌です。ラテン味のあるセクシー系の美女といいましょうか。
スタイルも抜群で、現在活動拠点を置いているパリではモデル活動も行っています。
そのほかにもドキュメンタリー番組やトーク番組の出演にもかなり意欲的なようです。
「ピアノ界のビヨンセ」と呼ばれたこともあるんだとか。
アルゲリッチを彷彿とさせる演奏スタイル
カティア・ブニアティシヴィリはその情熱的な演奏スタイルが特徴的です。まさに「没入」という言葉がぴったりの音楽家です。
また表現に関しても、かなり個性的な解釈で演奏することが多いです。
テンポ設定もかなり速めのことが多く、あのアルゲリッチを彷彿させるとの声も度々聞かれます。
実際二人は演奏会で連弾曲を共演したこともあり、直接インスピレーションを受けた部分もありそうですね。
二分する評価
カティア・ブニアティシヴィリは評論家の中でも特に評価が分かれるタイプのピアニストだと言ってよいでしょう。
Classic FMとガーディアン誌は彼女の演奏スタイルに関して概ね好意的で、
「ブニアティシヴィリは若い頃のマルタ・アルゲリッチを彷彿する激しい気性と技法を持つ若いアーティストである」ーClassic FM
「これは今日の最もエキサイティングで技術的に才能のある若いピアニストが本心からストレートに弾いている」ーガーディアン誌
その一方で、テンポ設定や表現があまりに極端で、ミスタッチも少なくはないため、彼女の演奏スタイルを好ましくは思わないという向きも一定数あります。
「彼女の特徴である落ちつかないリズム感、計算外の躍動感、全体的な無計画さも何度か聞いているうちに次第に薄れてくる」ーグラモフォン
「愛の夢第3番は構成においてもリズムおいても曖昧である」ーグラモフォン
「休止の欠如と過度に速い演奏」ーグラモフォン
なかなか辛辣な言いっぷりでございます。今後彼女と契約するつもりは毛頭無いということなのでしょうか。
ただレコード会社同士のライバル関係もその評価に関係している部分があるかとは思います。
個人的にはどちらの言い分もわかるような気がします。
ミスタッチにしたってあそこまで極端なテンポで弾かなければある程度減らせるとは思うんですよね。
それでも自分の演奏スタイルを貫きたいというのであれば、それはそれで彼女の価値観として尊重すべきなのだと思います。
クラシック音楽界では若手の部類に入るとはいえ、彼女もすでに三十路を迎えております。
そろそろ落ち着いてきて、それが演奏スタイルに反映されるお年頃だとしてもおかしくないかもしれませんね。今後の進化にも目が離せません。
なんとペンタリンガル!
ペンタリンガルなんていう言葉、普段耳にしないですよね。これはバイリンガルの5ヶ国語バージョンのことです。
カティア・ブニアティシヴィリは母国語であるグルジア語に加え、フランス語、英語、ドイツ語、ロシア語も話すことができるそうです。
世界中を演奏で飛び回っているのでどうしても必要になってくるスキルなのかもしれませんが、それにしてもすごいですよね。
アルゲリッチも6ヶ国語(もっと多いかも?)話せるって聞いたことがありますが、やっぱりピアニストってとんでもなく頭が良いのだなと感じさせられますね。
ロシアとの微妙な距離感
カティア・ブニアティシヴィリは複雑な世界状況の中で生きてきたピアニストです。
それゆえ、旧支配国であるロシアに対しては慎重なスタンスを貫いているようで、とりわけプーチンさんにはあまり良い印象を抱いていない模様。
プーチン推しの世界的指揮者ゲルギエフとの共演を断ったことなどもあるのだとか。
ただ、本人の口から直接的なことは語られていないので、あくまでも噂レベルの話ですけどね。
カティア・ブニアティシヴィリのおすすめ演奏動画
カティア・ブニアティシヴィリの演奏動画をご紹介いたします。
愛の夢第3番(リスト)
彼女の評価が分かれているのがこちらの演奏。愛の夢をここまでムーディーに弾くピアニスト、見たことがありません。
(衣装も)テンポもなかなかギリギリを攻めているなといったかんじ。
おそらく楽譜に忠実に弾くことに重きを置く人からは敬遠される演奏なのではないかと。先ほどのグラモフォンもこのポジションに立っているわけですね。
でも、愛とセクシーさというのはどうしても切り離せないものがあるのも事実。
彼女の演奏はそれを惜しみなく表現しているなと感じます。
個人的にはこれも一つの名演だと言えるんじゃないかと思う次第です。
バラード4番(ショパン)
ショパン屈指の難曲として名高いこちらの一曲。
最後のコーダ、派手に締めくくるんだろうなあって聴く前から思いましたが、案の定ってかんじ。
にしても、あの難しいコーダをノールックで弾いてるの逆にすごいですよね。(結構ミスタッチしてるのはご愛嬌。)
あと、カティア・ブニアティシヴィリの演奏を見ていると、前髪(なのかサイドなのか……?)が目を完全に覆ってしまうこともしばしば。
で、片手が空いている隙に前髪を振り払う、というのがお決まりパターン。この仕草がまた超セクシーなんですよね。
最初からもうちょっと髪型工夫できないの?とか色々ツッコミを受けそうなものですが、最近もブレずにこのヘアスタイルを貫いている模様。
ピアノ協奏曲(シューマン)
とにかくダイナミックに疾走する彼女の演奏スタイルが見事にハマった形となっているのがこちらの演奏。
アルゲリッチの鉄板レパートリーでもあるこの曲ですが、3楽章なんてもう速すぎてアルゲリッチもびっくりでしょうね。
緊張しすぎてちょっとテンポ速くしすぎたかな、とかそういう次元ではありません。
でも逆に他の演奏では見られない躍動感、ある種の緊迫感のようなものが感じられる斬新な演奏でもあります。
ハンガリー舞曲第1番(ブラームス)
同世代のセクシー系ピアニストユジャ・ワンとの夢の共演を果たしたのがこちら。
ユジャ・ワンにについてはこちらの記事をご覧下さい。
あまりに演奏スタイルが異なるため、この2人で本当に噛み合うの?と思ってしまいますが、うまくいってしまっているんですよねこれが。
もっともカティア・ブニアティシヴィリがどれだけ暴走したところで、当代最高のテクニシャンであるユジャなら涼しい顔でついていくことができるんでしょうね、きっと。
カティア・ブニアティシヴィリのおすすめCD
Schubert
シューベルト最後のピアノソナタであるピアノソナタ21番と4つの即興曲Op.90などが収録されています。
個人的にはこのアルバムがカティア・ブニアティシヴィリのベストアルバムな気がします。
暴走するようなポイントもなく、見事な歌心を見せてくれています。
Kaleidoscope
万華鏡という意味のタイトル、いったいどんな思いでつけられたのでしょうか。
ムソルグスキーの「展覧会の絵」とラヴェルの「ラ・ヴァルス」、ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」が収録されています。
ちょっと癖のある、スピーディーなカティア・ブニアティシヴィリを楽しみたい方にはうってつけのアルバムです。
「ラ・ヴァルス」は途中からすごいことになってるので要注目。
Franz Liszt
リストの名曲である愛の夢第3番、ピアノソナタロ短調、メフィストワルツ一番などが収録されています。
テーマは「地獄」なんだそうです。ちょっとその真意は未だ分かりかねるところです。
リストが編曲したバッハもカップリングされていて、特にこちらは隠れた名演かなと思います。
そして「鬼火」は本当に指がよく回るなあと感心するばかり。とんでもない重音が連続しているとはとても思えない軽やかさです。
おわりに
さて今回はカティア・ブニアティシヴィリについてご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。
安定感などを考えると、レジェンド達に肩を並べるのはまだ先のことかもしれませんが、巨大な何かを持っているのは間違いない逸材です。
その演奏に惹きつけられるファンが数多くいるのは紛れもない事実なのですから。
というかむしろ、今後も万人受けするスタイルになろうなんて考えない方がいいタイプなのかも。
これから彼女がどのような進化を遂げていくのか楽しみで仕方ありません。
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