こんにちは、めーぷるです。
更新頻度が非常に適当な当サイトとなっておりますが、今日は久しぶりに医学部に関する記事をば。
今日の話題はTwitterでよく目にする「基礎医学不要論」についてです。
少し前には某ドラゴンの先生が「医者になってマジで使わない」的なことをYouTubeで発言している画像が出回って、ちょっとした議論になってましたね。
使わないと思って臨床やってるならレベルが…まぁそうだよね pic.twitter.com/MgtIeWReKd
— ギネタロス (@taroth_md) December 19, 2020
本人は「不要」とまでは言っておらず、いつの間にか話が大きくなっていった感はあります。(別にこの方のファンというわけでは一切ないのですが。)
確かに基礎医学といえば、(特に低学年の段階では)臨床現場と結びつけながら勉強するのが難しく、なんだか実体の無いものをひたすら追いかけている感もありますね。
というわけで今回は、本当に基礎医学は不要なのかについて考えてみることにします。
特に基礎医学がつまらなくて辟易している低学年の皆さんにも、ぜひ読んでみてほしい内容です。
目次
【結論】そもそも二択で考えるのが間違い
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかしこれには訳があるのです。
議論の前提に問題がある
この問題はそもそも、個々の医学生の能力や適性、キャリア選択といったパラメータを排除した上で、二元論的な思考で一般化しようとしていると言えます。
でも、求められる基礎医学の理解レベルが、何を専門とするのかによって変わってくるのは想像に難くないはず。
例えば外科医なんて他の人以上に解剖学に精通していないと、人様のお腹を開けてあれこれするなんて、できるはずないですからね。
他方、専門をかなり絞って診療にあたっている医師の場合、結果として「基礎医学を意識して使うことはほとんどない」というような業務形態になる可能性だって事実としてあるわけですよ。
もちろんどこの科でも「自分の専門に捉われないマクロな視点から目の前にいる患者さんについて考える必要がある」という観点では、「不要だ!」とまで言い切るのは難しいですが。
という訳で、基礎医学がどれほど重要なのかはその人自身で答えを見つけるしかないと思う次第です。
そもそもそれを議論してどうするのか?
結局、この問題って答えを出して幸せになる人っているんですかね?
「日本人はみんなで足並みを揃えたがります傾向にある」
なーんて言われますが、その最たる例なんじゃないかと。
そう思ううちにいつしか、「やらなくていいよ」という周囲の甘い言葉を心の底で求めるようになっているだけだと思うのです。
自分が勉強しないことに対する「言い訳」が欲しい。そして周囲の誰かに責任を押し付けたい。
そんな空気が漂っていて、なんだかネガティヴなベールに包まれた世界だなあと。
みんな違ってみんな良い。それで良いじゃないですか。
基礎医学を頑張る必要がある人とは
このまま精神論チックなことを続けても仕方がないので、そろそろ個々の行動につながる話を。
「基礎医学をやらなくていい人」を決めるのは無理がある話なのですが、逆に「基礎医学を頑張る必要のある人」というのはある程度具体化できる部分もあるのかなと個人的に思ったり。
基礎研究者志望の人
まあ、これは言うまでもありませんよね。
大学で習うようなレベルよりもさらに次元の高いところまで追求する必要があります。
ただ専門性が高すぎるがゆえに、基礎医学の中でも自分の研究にはほぼ必要のない分野が出てくる可能性はありますが。
CBTで高得点を取りたい人
CBTといえば医学部生にとって、絶対にくぐり抜けなければならない関門。
臨床実習を受ける事ができる「スチューデントドクター」という称号をかけた、医学部生活の中で国試の次に規模の大きな試験です。
とはいえ受かるだけなら、それなりの勉強をすればよっぽどのことがない限りは大丈夫です。
ここにテキストを入力
※あくまで機構が指定している合格点を大学がそのまま採用している場合の話です。例えば東京医科歯科大学80%を合格点としていると聞きますし、そのあたりの情報はきちんと仕入れておいてくださいね。
ただこの試験、「マッチング」という医学部版の「就活」をする上で、希望病院によってはそのスコアも評価対象となる場合があります。
特に人気病院を狙う方の場合はよく考えておいた方が良いですね。
で、その高得点の鍵となるのがズバリ「基礎医学」だったりします。
配点的にはそれほど大きいわけではありませんが、学習する順序の都合も関係するのか、中位層以上の人は、
(※QB=2021年現在、CBT対策においてほぼ全員が使うことになる問題集)
という事態に陥りがちです。
センター試験よろしく「9割」というのが一つの壁になってくる試験ゆえ、そのようなハイスコアを目指すとなると、基礎医学もどこかでそれなりに勉強しておく必要があるのです。
USMLE受験を考えている人
USMLEとはいわゆるアメリカ版医師国家試験です。
この試験STEP1 STEP2 STEP3の3段階を踏んで初めて合格となる試験なのですが、STEP1はほぼ基礎医学の内容です。
ゆえに基礎医学を勉強する必要があるわけですが、ただでさえ理解しにくい内容を日本語の用語と英語の用語の双方を照らし合わせつつ勉強していく必要があります。
CBTよりも格段に内容が深いとも聞くので、割と早い段階で基礎医学のベースを日本語で理解しておかないと苦しいかもしれません。
とはいえ僕はUSMLE受けたことがないので、それほどこの試験について詳しいわけではありません。興味がある人向けに、現在Q-Assistで無料で公開されているレクチャーのリンクを貼っておきます。
https://lec.medilink-study.com/front/courseDescription/course/19
【結論】基礎医学の重要性は経時的に変化しうる
最初にも申し上げましたが、結局「基礎医学が必要かどうか」なんて一概に決めることではないのです。
低学年のうちは勉強する意味も見えてこないかもしれません。でも学年を重ねれば自分のキャリアなどに対するあなたの考えにも多かれ少なかれ変化が出てくるでしょうし、「基礎医学の重要性」というのもその都度変化していくものなのです。
特に臨床科目の勉強が始まると、どうしても基礎医学を理解しないと先に進めないようなところがたくさん出てきますからね。
だからこそ、「不要だ!」と早急に結論づけてしまうことだけは避けて欲しいものであります。
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