こんばんは。めーぷるです。
高校生までピアニスト志望だったとということで、今でもピアノはぼくの生活の大きな一部となっています。
ということで、今日はクラシック音楽ネタについてお話させてください。
ユジャ・ワンというピアニストをご存知でしょうか?
彼女は中国生まれのピアニストで、僕が最も気に入っているピアニストの一人です。
2019年度も精力的に活動しており、超人気ピアニストとして世界中を駆け回っています。
詳しいことはこの先でお話しますが、とにかく彼女は話題に事欠かないことでも知られています。
それでは、そんな彼女についてクローズアップしていくことにしましょう!
目次
ユジャ・ワンの経歴
生い立ち
ユジャ・ワンは1987年に中国の北京で生まれました。
父親はパーカッショニスト、母親はダンサーと、音楽とは切っても切れない関係にある。そんな家族であったようです。
ピアノを弾き始めたのは6歳の時。数ある楽器の中でピアノを選んだのは、本人曰く「家にあったから」とのこと。
7歳にして北京中央音楽院に入学します。ピアノを始めてからわずか1年での入学なので、始めから相当な才能を発揮していたということは想像に難くありませんね。
その後14歳でカルガリーでの語学留学したのち、15歳からの5年間をフィラデルフィアのカーティス音楽学校というところで過ごします。
14歳からずっと一人で海外生活を送っていることから、彼女の芯の強さを感じることができます。
ところで、ユジャ・ワンは意外にもコンクール歴がほとんどないピアニストの一人なのです。
そんな彼女が挑戦した数少ないコンクールが2001年の仙台国際音楽コンクール。記念すべき第1回でもあったこの大会において、14歳にして3位&審査員特別賞受賞の結果を残しています。
ちなみに、カーティス音楽学院での師、ゲイリー・グラフマンは同じ中国出身の大人気ピアニスト、ラン・ラン(朗朗)も指導しています。
ユジャ・ワンもラン・ランも共に技巧的な曲を得意としていることから、グラフマンのレッスンには何か特別な秘密があるのかもしれませんね。
カーティス音楽院在学中も多くの交響楽団との共演を重ね、着実にピアニストとしてのキャリアを築いていったようです。NHK交響楽団との共演歴もあります。
突然訪れた転機
2007年、着実に評価を高めていたユジャ・ワンに千載一遇のチャンスが訪れます。
78歳(2019年現在)となった今日でもなお、世界最高のピアニストとの呼び声高い、マルタ・アルゲリッチがボストン交響楽団との共演を急遽取りやめたのです。
そして、代役に選ばれたピアニストこそ、ユジャ・ワンだったのです。なんでもアルゲリッチ直々の指名だったようです。
アルゲリッチにとっては単なる1コンサートに過ぎなかったかもしれませんが、ユジャ・ワンにとってはまさに試金石。
もしも聴衆を満足させることができなければ、ここまで順調なキャリアを送ってきたユジャ・ワンの評価に大きな傷が付いてしまいます。
そのプレッシャーたるや相当なものだったはずです。
しかし、蓋を開けてみれば、コンサートは大成功。デュトワが指揮するチャイコフスキーのピアノ協奏曲のソリストを見事に務め上げました。
聴衆の想像をはるかに上回る出来であったことから、ユジャ・ワンはこのコンサートによって現代を代表するのヴィルトオーソ(超一流の演奏家を示す言葉)としての立場を確固たるものとしたのです。
最後に一つこぼれ話を。指揮者を務めたデュトワはアルゲリッチの元夫です。離婚して気まずいのかと思いきや、仕事となると別なんですね。
現在
ユジャ・ワンは32歳となった現在もなお、精力的にコンサート活動を行っており、その勢いたるや、止まるところを知りません。
現在はニューヨークを拠点に活動しているようです。とはいっても演奏旅行で世界中を駆け回っていますので、家を空けることが非常に多いのだとか。
ユジャ・ワンについての最新情報が知りたいという方は、こちらの公式サイト・SNSもチェックしてみてくださいね!
HP: http://yujawang.com/
Twitter: https://twitter.com/yujawang
instagram: https://www.instagram.com/yujawang.official/?hl=ja
ユジャ・ワンの魅力とは
人間離れしたテクニック
ユジャ・ワンについて語る上でテクニックばかりに注目すると、彼女の演奏の本質を見誤ることになってしまうかもしれません。
しかしながら、ユジャ・ワンが現在世界屈指のテクニシャンであることは紛れも無い事実。その演奏を見れば一目瞭然ですね。
手の大きさも10度届くか届かないか、といったところだと思われ、ピアニストの中では決して手が大きい部類では無いにも関わらずです。
超絶技巧を要する曲として知られる、『トルコ行進曲』(モーツァルト作曲・ヴォロドス編曲)や『熊蜂の飛行』(リムスキー・コルサコフ作曲・シフラ編曲)はもうすっかり彼女の十八番となっています。
叙情的な表現においても隙がない
ユジャ・ワンについて勘違いしてはいけないのが、彼女は単なるテクニシャンでは決してないということです。
必要以上に速く演奏することでテクニックをひけらかすようなピアニストでは決してありません。
あとで紹介する『ヴォカリーゼ』(ラフマニノフ作曲)の演奏を見てもわかる通り、彼女はたっぷりと歌うような叙情的な部分の処理も非常に巧みです。
同じ中国のラン・ランのように過剰な表現に走ってしまうことも無く、本当によくコントロールされているなという印象。
とにかく安定感が素晴らしいピアニストなのです。
独特の衣装
ユジャ・ワンというと、ミニスカート×ピンヒールのような攻めた衣装で話題になることがしばしばです。見ている方も少しハラハラしてしまいますね。一部では「パンツが見えるピアニスト」と言われているとかいないとか……。
しかし彼女曰く「ステージ上では自分が楽しくなきゃ、良い演奏はできないわよ。」とのこと。彼女なりの哲学があるからこそなのです。
クラシック音楽会の中では若手にカテゴライズされる年齢ですし、まだまだオシャレしたいお年頃なのかもしれません。
裸足でステージに立つことで知られるアリス=紗良・オットにも通じるところがありますね。
時には衣装について批判を受けることもあり、由緒正しきクラシック音楽ファンからするとその奇抜な身なりというのは許しがたいものなのかもしれません。
しかし、もしも彼女が普通の衣装でコンサートをした場合、そのピアニストはユジャ・ワンでは無くなってしまう可能性すらあるのです。
そう考えると、彼女の個性についてとやかく言うのも違う気がしてしまう今日この頃です。
お辞儀
ユジャ・ワンのお辞儀は超高速かつ激しいのが特徴です。クラシック音楽のコンサートでこんなお辞儀をするのは彼女くらいでしょう。
しかし、お辞儀を改善する気は全く無いようでして、小さい頃からのお辞儀の癖をずっと気に入っているようです。
気が強そうな一面がよく表れている反面、なんだかチャーミングだなと思ってしまうのはぼくだけでしょうか。
怒涛のアンコール
クラシック音楽のコンサートでは、通常プログラムを全て演奏し終わったあと、1~2曲おまけで演奏する「アンコール」があるのが慣例となっています。
ところが、ユジャ・ワンの場合、アンコールだけで8曲演奏することなんて日常茶飯事。「もっともっと、聞きたいでしょ?」と言わんばかりです。
アンコールの演奏時間がプログラム曲の演奏時間を上回ることもしばしばなんだとか。
これは聴衆からすると、大変喜ばしいサプライズですよね。彼女のサービス精神が伺えます。
ちなみに、ユジャ・ワンはプログラムを変更することが多いことでも知られています。本人曰く、
「2年先に何を弾きたいかなんて今わかるはずがないじゃないの。アンコールたくさん弾くからいいでしょ。」
なんと潔い確信犯でしょうか。個人的にはこういうところもまた好きなんですけどね。
ユジャ・ワンのおすすめ演奏動画
ぼくが厳選した、ユジャ・ワンのおすすめ演奏動画をご紹介します。
熊蜂の飛行(リムスキー・コルサコフ=シフラ編)
ユジャ・ワンの常人離れしたテクニックを堪能できる演奏です。
カルメン(ビゼー=ホロヴィッツ編)
ユジャ・ワンのコンサートに行くと、かなりの頻度でアンコールに登場するのがこの曲。
ユジャ・ワン自身が最も大きなインスピレーションを受けたと語る大ピアニスト、ホロヴィッツの編曲です。
トルコ行進曲(モーツァルト=ヴォロドス編)
これもまた彼女の鉄板曲の一つです。
ファジル・サイ編曲のものとミックスしながら弾いていることもあるみたいですね。
この動画では、トルコ行進曲が始まった瞬間、聴衆の笑い声がしていますが、きっとその後技巧的な曲に変貌していくとは思いもしなかったのでしょう。
ユジャ・ワンもしてやったりなのではないでしょうか。
ヴォカリーゼ(ラフマニノフ)
テクニシャンのイメージが強いユジャ・ワンですが、実はこういった聞かせる曲も得意としています。
技術の高さを表現面でも活かすことができる、という点で理想的ですね。
ピアノ協奏曲(ラヴェル)
ユジャ・ワンは協奏曲もそつなくこなすことができます。最近は弾き振りデビューを果たしたようですね。
デュトワをはじめ、世界の名だたる指揮者からの評判も良いようです。
ドキュメンタリー動画(英語)
ユジャ・ワンのおすすめCD
最後に、これまでぼくが聞いたユジャ・ワンのCDをご紹介することにしましょう。
ファンタジア
ユジャ・ワンを知ったばかりだという方には、このCDを強くオススメします。
このCDにはユジャ・ワンのあらゆる魅力が最も凝縮されている、といっても過言ではないでしょう。
技巧的かつ哀愁漂うメロディーが特徴のラフマニノフ、華やかで軽快なスカルラッティのソナタ、しっとりとしたショパンワルツ、情熱的なカルメン、ジャズの曲「二人でお茶を」……と、実に幅の広いピアニストであることを実感せずにはいられません。
ぜひ聴いておきたい一枚です。
Transformation
こちらはユジャ・ワンが22歳の時のアルバムです。
デビューからそれほど経っていない頃の、フレッシュで技巧的な演奏を存分に堪能できる一枚となっております。
テクニシャンとしてのユジャ・ワンを聴きたいという方はこのCDがオススメです。
のだめで有名になった『ペトリューシュカ』、ブラームスの『パガニーニの主題による変奏曲』、ラヴェルの『ラ・ヴァルス』と、高度なテクニックを要する曲が並んでいます。
新時代のヴィルトゥオーソであることを、その技巧をもって示そうとしているかのようなアルバムです。
Ravel
こちらはラヴェルの2つのピアノ協奏曲を取り上げた、オーケストラとの共演作品となっています。ソロ曲とはまた違ったユジャ・ワンを聴くことができます。
『左手のためのピアノ協奏曲』はその名の通り、ソロパートを左手だけで弾く曲です。片手だけでもオーケストラに負けない存在感を見せつけてくれます。
また、カップリングされているフォーレの『バラード』は、有名な曲ではありませんが、大変美しい曲です。ロマン派の曲が好きだという方はぜひこの曲も聴いてほしいものです。
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